第97話

近くのスーパーに仲良く歩いて行き、帰りはそれぞれがぱんぱんの袋を両手に持つ量になっていて。



もちろん百合ちゃんには軽いのを詰めたものだけど。



「たまにはこういうのもいいね」


「楽しいですね」


「…そうっすね」



ルンルンで二人にそう言い、本家に行くより楽しかったと思ったとこだった。



「危ない!!!」



もう少しで広い空き地に出るとこ。後ろからきた猛スピードの車を避けるため荷物を投げ捨てれば、少し後ろを歩く直樹と百合ちゃんを腕で囲いなんとか避けた。



おいおい、まさか俺らに突っ込もうとしたんじゃ…そう思えば



「そのまさかね」


空き地に止まった黒塗りのワゴン車。扉が開けばぞろぞろと出てきた男達。それは完全に



「いかれてるな…」



薬に溺れた顔だった。



咄嗟に直樹と百合ちゃんを俺の背後に隠せば



「…透さん」



怯える百合ちゃんの声。



大丈夫。こうなってもいいように俺はついてきたから。

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