第96話

「えっ?透さん本家に行くんですよね?」



驚いた顔の直樹が途端に聞いてくる。そりゃそうだろう。買い出しに幹部である俺がついていくんだから。


でも…


再度視線を向ければやっぱり颯の目が俺に伝えていた。



「いや、考えてみたら日取り決めだから颯と秋がいれば充分だからさ。買い出したくさんあるだろ?まだ直樹も痛むだろ?な?俺も行く」



「…分かりました」



半ば強引に言えば渋々直樹も頷きほっとする俺。颯もそれを確認すると



「頼んだぞ。百合、行ってくる」



「あぁ」



「いってらっしゃい」



声をかけ秋と一緒にリビング階を出ていった。



「じゃぁ俺らも行きますか」



それからすぐ俺らもビルを出て三人で買い物へと向かった。



朝、俺が感じた深まったと思った絆。それが試されるスタートがこの買い物から切られることをまだ誰も、俺だって気付いていなかった。

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