第91話

嫌いになんてなれるわけないよ。それでも直樹君はまた頭を下げようとするから



「じゃぁこれからもご飯は直樹君に頼もうかな」



なんて直樹君の腕を掴めば



「百合…!勝手に行くなよ」



焦ったような私の呼ぶ声が聞こえれば、私の手はすぐに“それ”に捕まった。


「颯…」


「心配した」


後ろから抱きしめられ、私の頭の上にコツンと額をつければ安心したような息を漏らしていた。



「あ、あの…」



その声にハッとすればいつかの真っ赤な直樹君。恥ずかしくてぐいぐいと颯を押しのければチッと舌打ちが落ちてきたけどそんなの気にしない。



「まだ早い。帰るぞ」

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