第89話
咄嗟に支えようとすれば
「いえ、大丈夫です」
松葉杖でバランスを取り直していた。直樹君の姿をよく見れば肋骨の辺り、コルセットのようなものを巻いてるみたい。あの痛がり方だと相当な怪我だろう。
でも、直樹君のこの怪我の原因が私にはなんとなく分かっていた。だって、
「休まないの?」
そう聞けば
「俺が悪いんです。絶対に休みません」
硬い意思を持つ直樹君がいるから。
「信用を取り戻すには、俺にはこの方法しかありませんから」
そう言って変わらず料理する姿に尊敬した。自分が料理するのに時間がかかることを直樹君は分かってる。何時からここにいて、ゆっくりゆっくり、痛みに耐えて食材を切ったんだろう。少し充血するその目がそれを物語っていた。
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