第83話

俺の勘は当たっていた。



表向きは一般的な交通事故として警察にも片づけられていたが…。裏の組織が関わっていたことが揉み消されていた。



やっと百合が精神的にも落ちついてきたのに。今更親が殺されたと知らせる意味はあるのか?自問自答の日々だった。



それでもやはり百合に真実を伝えようと思った。でもその時、ちょうど百合の心が不安定になってきていたから、これが落ちついたらにしようと透と秋とも相談して決めていた。



でもまさかそこを敵に突かれるとは。

完全に俺のミス。



「悪かった、本当に…」



腕の中、強く百合を抱きしめれば白い包帯から滲んできた俺の血。思いだすのは透の言葉、そしてほっと緩んだ俺の心。



「チッ、早く出てやるか」



百合をまた汚してしまわないうちに、俺を思う友人のために。


俺は百合を抱き風呂を上がった。

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