第82話

(颯side)


秋にキツく止血してもらい、少し落ちつけば百合と風呂に入った。



チャプン…



揺れるお湯と、眠る百合を腕に抱え風呂に入るのは二回目か…。あの時の百合はまだ俺のものでもなく、一人孤独と戦う女の子だった。



でも今は、間違いなく俺のもの、



俺のものだ。



絶対にこいつを離したくない。



こんな思いはいっちょ前にあるのに、結局ここまで百合を追い詰めたのは俺なんだ。



「ごめんな、ごめん…」



いつも眠る百合に謝ってるな。そんなことを思っても弱い俺は眠ってる百合にしか言い訳ができないんだ。


「あの件も、本当は様子を見て百合に教えようと思ってた」



百合の両親のこと。百合と初めて墓参りに行った日だった。ふと、なんとなく思った疑問。本当に交通事故なのか?と。



透が最初に持ってきた百合の情報に間違いは無いはず。それでも胸に感じる違和感の正体をビルに帰ってから詳しく調べると…。

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