第81話

その言葉に百合ちゃんを見れば、着ているワンピースの胸元、さらにそこから飛び散ったものが首元や足下も汚していた。颯の血もついてる…



さっきはそれどころじゃなかったからな。全然気が回らなかった。

 


「秋、風呂が入れるようにだけ止血して包帯巻いといてやれ。出てからしっかり手当てしよう。颯も、なるべく早く出てこい」



仕事ではなく、これは一人の友人として出た言葉。この様子じゃどうせ止めても聞かないだろう。



俺にもたまにはお前を心配させてくれ。



そう思えば、ようやくフッと笑みをこぼした颯がいた。

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