第80話

「俺は後ででいい。先に百合に怪我がないか見る」



颯の腕の中、部屋に降ろされれば張り詰めていた意識が緩んだんだろう。百合ちゃんは気を失っていて。



自分の怪我より百合ちゃんを先に見るという颯にどこまでも颯らしいと思った。ソファーに移動し寝かせれば



「怪我は無さそうだね」



「あぁ」



ほっとする颯



「若!お怪我を…」



早速手当てしようとする秋だが、



「百合を風呂に入れる。

起きるときには綺麗にしてやりたい」

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