第64話

百合さんはしゃがんでそれを取ると静かに声を上げていた。



「ゆりさ…ん」



かけより百合さんを呼んだと同時に目につくように入った文字。それは、





『南百合の親は事故死ではない。殺された』




その下にはその事が言及されてるのだろう。百合さんがページをめくれば写真付きで殺人犯と書かれたものがあった。



「百合さん」



「ん?」



ゾクッとした。



リビング階で声をかけた時と同じ返事。なのに、百合さんは何も写していないかのような真っ暗な瞳をしていた。



バサッ…



「百合さん!!」



百合さんの手から書類が滑り落ちれば百合さんは一人、駆け足でビルの中へ入っていった。

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