第52話

「若、一般人ではないような気がするのは気のせいでしょうか?」



秋の言うとおりだった。



百合が気づいたほど、あの人だかりで俺らを写真に収めようとする奴は誰も居なかった。それだけ俺らの監視下にある地域は統率がとれてる。今更こんな子どものいたずらめいたことやるか?



毎日毎日ここの住所だけが書かれて百に近い数送られてくる封筒。その中を開ければこれだ。最初は俺らで開けていたが今では住所のないものは下の奴らに開けてまとめてもらっていた。



「裏で動いてるな…」



唇を噛みそう伝えれば



「ん?…どうした?」



電話が振動したのか、一度手紙の確認を辞め透が電話に出れば



「は?今行く」



珍しく下っ端に声を低くした透。それは、



「見張りがやらかした。百合ちゃんにこれ見られた」



透が広げた一枚の紙。そこにはでかでかと真っ赤な絵の具で死ねの一言。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る