第41話

「颯?イクラ…食べたい」



恥ずかしそうに言うその言葉通り、まだ何十貫と余ってる寿司にイクラはゼロだった。



「たくさん頼もうな」


直樹のことなんか一瞬で吹っ飛んだ。


助かったな、なんて透の声が聞こえたが、秋が店員を呼び俺の膝で百合を囲えば



「たくさんはいらないよ」



と焦る百合。



「余ったら持ち帰ればいい」



何より



「家でもそんな上手そうに食う百合が見たい」



百合にだけ聞こえるよう呟けば、大好きな笑顔がそこにはあった。



イクラ…。


悔しいがリビング階にイクラは常備させとくか。

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