第21話

(百合side)



「みんな忙しいね…」



颯の残りを片付けに来た直樹君に声をかければ



「大きな組ですからね」



と笑顔の直樹君がいて。



直樹君と二人きり。前々から聞いてみたかったことを思い切って聞いてみた。



「あのさ、直樹君?」



「何ですか?」



首をかしげる直樹君。



「あのね、いつも直樹君ご飯一生懸命作ってるけど、透さんなんか一口も食べないで仕事行っちゃったでしょ?颯も途中で行っちゃって…嫌になったりしないの?」



ずっと思っていた疑問だった。



せっかく作ったのに食べてもらえない、または残ったものを処分する直樹君の気持ちを。優しい直樹君のことだから嫌に決まってる。聞いて答えるにも、嫌な気持ちになると思ってずっと聞けなかったことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る