第45話
Ⅱ【旅2】〔彼方へ〕p45
外は僅かな星明りがあるくらいで殆ど闇だったが、ゴツゴツとした岩が形成する山脈や丘の存在ははっきりと分かった。
大気の無い極寒の世界らしい。
突然周囲の景色が虹色に輝いたと思うと、ヘルラムは漆黒の岩石に囲まれた大きな部屋の中に立っていた。
ここはロピの中心部、地下深い場所にワープしたようだ。
何処にも照明らしき物は見当たらないのに穏やかに明るく、空気も有り、温度も過ごしやすい程度になっている。
無人の筈なのに、もの凄い気とエネルギーに満ちており、部屋全体、というよりこの星全体が生きて息づいているのを感じた。
その息づきは、とてつもなく愛情に溢れ、とてつもなく悲しみに満ちていた。
この星はとんでもなく密度が濃いとヘルラムは感じた。
それは単に質量が大きいということでは無く、おそらく地球の10分の1にも満たない大きさだろうけれど、もの凄いエネルギーとパワーと思いがそのまま星という形になったと言った方がいい程、物理的にも不思議な存在だった。
アンドロメダには巨大なブラックホールが有る筈で、ロピの位置や大きさから考えると、とっくにブラックホールの餌食になっていて当然だが、厳然としてロピは存在し、逆にブラックホールまでも食らいそうな威力で佇んでいる。
そしてこの部屋………
気がつくと、星の欠片のような強い輝きを放つ光がチラチラと目の前を落ちていく。
それは少しづつ増えて、部屋というよりホールと呼んだ方が似合う広いスペース一面をラメ状の霧で包み、美しい幻想的な世界となった。
その光達はヘルラムの全てに染み渡り、ヘルラムとロピとを一体にした。
すると、ヘルラムは一瞬にして何もかも理解した。
自分に課せられた宿命、その訳、 これから成すべきこと、その全てを。
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