第39話
Ⅱ【旅】〔輪廻〕p39
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それぞれの時代の一人一人が、遠い未来人にその生きた軌跡を振り返られるなどとは夢にも思わず、ただひたすら定められた時間と空間の中で真剣に精一杯生きていたことが、不思議でもあり、切なくもあり、そして偉大なことだと感動せずに居られない。
私の魂がいつまで浮遊し続けるのかまだまだ分からないけれど、私が生きた地球年21世紀の平和が愛しく懐かしく染み渡る。
私の魂は明らかに澄んできていた。
この試練の旅を始めてどの位の時間が経過しているのだろう?
億単位の年数かもしれないし、兆単位かも……
星の位置は確実に変化している。
宇宙そのものの質も変わってきているようだ。
それでも未だに織姫と牽牛の透明球を全く変化の無い様子で時々見かける。
次の私の魂は、氷河期に生きた小動物のようだった。
一面の白い世界、飢えや極寒との壮絶な戦い等の記憶が魂を支配していた。
その中に時々現れる飛行物体の存在が有った。 小型の透明球だ。
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トゥーは自分の左胸の星形アザと同じアザを持つ相手を探していた。
その相手と出会って結ばれなければならない宿命であり、そうならなければ我々の種族、そして我々の星、果ては宇宙そのものの破滅にさえなると、遥か昔から代々伝えられてきた。
トゥーの父親もやはりこのアザを持っており、生涯相手を探し続けていた。
そのまた父親つまり祖父も、そのまた父親もそのまた父親も………
気の遠くなるような時間、いろんな星を探索し続けてきて、ようやく辿り着いたのがこの地球だった。
だが短い命だったり全く相容れない種だったりして、なかなか出会いに導くことが出来ずに居た。
元々地球人より長い地球年500年位の寿命を持つトゥーの種族だったことに加え、時間コントロール可能な知的レベルにも達し、しかも時間のズレのある宇宙空間を行き来している為、可也多くの時代地球探査をしたが、一向にうまくいかなかった。
人類の祖先である種がこの氷河期を乗り越え、新しい文明を生み出し始めたらトゥーの仕事を手伝ってもらおうと、自分の星形アザと、もう一つ代々伝えられ保存された星形アザ培養のコピーを取って小さな探索要員を作り、地球に送り込んだ。
そして母船の貯蔵庫と直接繋いだ異次元空間を地球上のあちこちに拵え、そこに探索要員を住まわせた。
ただ魂の証である星形アザは、コピーすると強靭さに欠けるため、激しい恋心等のエネルギーには弱いし、コピーのコピーを取った場合も元のコピー自体が薄れるので、その両方が重なれば当然消え失せる。
人類は文明の進歩と共に、生命の儚さや虚無感、日々の生活の辛苦を強く感じるようになり、自分達と違う世界の存在を求め依存しようとする潜在意識が、探索要員の姿を意識し始めさせた。
探索要員を妖精というジャンルに置いた人類は、その一人にミッピーと名付けた。
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