第36話

Ⅱ【旅】〔輪廻〕p36


今回のシーンに出てくる乗り物は、忘れもしない中学1年の美術試験で『未来の遊園地を描きなさい』と言う課題に描いた私なりの『未来遊園地の乗り物』です😄🎶💖


この課題面白いですよね🎶💕 先生 Good job!

私も既に中学の時にはSF少女に入っていたわけだとしみじみしております😆🌌🌠


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タミーは今日もまだ太陽がその姿を半分程しか見せていないうちから、いつもの森林で狩りをしていた。


この頃太陽がその優しい光の手を存分に差し伸べてくれる前の空気が冷たく感じ始めている。


そろそろあの長く白い季節を迎える準備を始めなければならない。


追ってきた獲物にも逃げられてしまい、お腹もすいてきた。


いつもと違う横道に逸れてみて、それでも駄目なら一度家に戻り、少しお腹に入れてからまた狩りを続けようと考え、いつもUターンの目印にしている大木から横に入って行った。


前方に小動物の気配を感じ、その後を追って暫く走った。


再び獲物を見失い、獲物が見えなくなった場所をじっと見つめていると、何だか妙な気分になってきた。


鬱蒼と茂る草木の一部分に違和感を感じる。

そこだけ水の中から見上げた外の世界のように異質なのだ。


タミーは思いきってその場所へ行ってみた。


よく見ると、淡い木漏れ日を受けて空気のあちこちが輝いている。


輝いている部分に手をやると、何か堅いものに触れた。

空気では無い。


えっ?と思って、その周囲にも触れてみると、硬い大きな物が確かに有る。


撫でながら違和感のある部分の端まで移動する。

その不思議な物体は、違和感部分の総てを成していることが分かった。


手探りでそれが洞窟のようになっていると知ったタミーは、その内側へ入ってみた。


その途端タミーが立っている場所の床が白く輝き、驚いて身動き出来なくなっているタミーを乗せたままゆっくりと動き出した。


透明な筒状の中を緩やかな傾斜で少しづつ上昇しているのだ。


今しがたまでこの足が踏みしめていたくさむらが、どんどん下がっていき、届かなかった高い枝の木の実が目の前を通り過ぎ、青い空を塞いで天井を作っていた一番てっぺんの木の葉を見下ろし、歩いて来た道が確認出来るようになり、タミーの家を初めて屋根上から見てその小ささに驚き、森の全体を見渡し、川や山や今までは知らなかった様々な世界を一望できる高さも驚きと感動に鳥肌立ちながら通過した。


・・・・・どうしたんだ? 何処へ行くんだ?・・・・・


という思いは、好奇心ではあっても決して恐怖では無かった。


自分の居た筈の土地が全く別物のような様相を呈してきて、白い霧のようなものが周囲を取り囲み始めた。


それはどんどん濃く広範囲になり出して、タミーの周り総てが乳白色となった。


タミーがこの世でただ一人存在する生き物かと錯覚する程心地好い幻想的な世界に酔いしれていると、少しづつ乳白色が薄れていき、スポッと抜けるように霧の塊から出た。


一面何処までも広がる純白のフワフワした美しい塊。


この塊を抜け出したことを考えれば、堅い地面では無いことがタミーにも理解できたけれど、その上を歩いて行けそうな程しっかりとした塊に思えた。


そして、これまで見たことの無い、色の濃い空と輝きの強い太陽!


タミーはうっとりと行く先を見つめた。


透明な筒は、所々で太陽の光を反射して今やその存在をはっきりと示している。


まだまだ続くようだ。


空の色が益々濃く深くなっていく。


そのうち白い塊も切れ目が分かるようになり、あれほど広大だったものが一部の塊となって、その塊があちこち点在していることも分かってきた。


その下は青、茶、緑の模様になっている。


色模様も輝く深い蒼に飲み込まれる頃には、タミーの周囲全てが見たことの無い漆黒の世界で、手を伸ばせば掴めそうな星たちが、下界で見たのとは全く異なった存在感で其処に有った。


星の集団もはっきりと有る。


すると突然床の白い輝きが消えて動きも止まった。


目の前の、直系3㍍程の透明筒の最先端と思われる部分が、水を掻き回したようにウラウラと蠢いていることに気づいた。


タミーはその蠢きにおずおずと触ってみた。

すると手がスッと入っていく。


そして中に入った手がとても軽くなっている感覚が有った。


タミーがそのまま両手で叢を掻き分けるように上半身だけ入って覗き込むと、そこは何も無い空間で、覗いた部分から軽くなり吸い込まれるように全身が中に入った。


身体はフワッと浮いて、横になったり逆さまになったりグルグル回ったりしながらあちこちに飛んだ。


タミーは楽しくて興奮しながら身体を動かして遊んだ。


そのうち仰向けになって自然に移動するまま流されていると、入って来た入り口から50㍍位離れた所でゴツンと頭が何かにぶつかり、反動で少し戻された。


ぶつかった拍子に直系100㍍程の球形に細かいIC回路のような模様が浮き出た。

もちろん原始人のタミーにメカなど理解できるわけも無く、初めて見るメカ模様の美しさと、それが突然表れたことの驚きで暫く呆然と模様を見つめながら流されていたが、反対側の壁に辿り着く前にメカ模様は全て消え、再び漆黒の空間と無数の星達が広がった。


タミーは、流されながら手探りしてもう一度透明な壁に触れてみた。


するとまたもやメカ模様の大球が表れた。

タミーはすぐに理屈を飲み込み、手で触れては放し、模様が消えるとまた触れてを何度も何度も繰り返して遊んだ。

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