第35話 叔母に恋したアウレリャノ・ホセはアマランタに求婚するが拒絶される

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 アウレリャノ・ホセがマコンドに戻ってきたのは、叔母のアマランタに結婚を申し込むためだった。それと気づいたアマランタは、アウレリャノ・ホセを避け続けるが、アウレリャノ・ホセは、彼女の寝室にまで忍び込んでくる。


 ――いつも叔母さんのことを考えていたよ。

 ――自分の部屋へ戻って、ね。わたしは叔母よ。乳こそ与えていないけれど、あんたを育てたのはわたしよ。


 しかし、アウレリャノ・ホセは、寝室の鍵をかけようとしないアマランタを態度をみて自信を持っていた。それは戦場で自分のいとこでもある伯母と結婚した仲間からこう聞かされてきたからだ。


 ――おい、叔母と結婚してもいいのか?

 ――いいどころじゃない。おれたちが坊主と戦っているのは、自分のおふくろとだって結婚できるようにするためさ。


 この仲間の言葉を聞いた二週間後にアウレリャノ・ホセは連邦軍を脱走したのだ。


 ――あんたはけだものよ。


 寝室でアウレリャノ・ホセから執拗に言い寄られてアマランタは言う。


 ――かわいそうな叔母にこんなことをしていいわけがないわ。法王様の特別のお許しがあれば別だけど。

 ――ローマにだって行くさ。法王の履物にだって接吻してみせる。

 ――それだけじゃないわ。豚のしっぽがある子供が生まれるかもしれないのよ。

 ――かまうもんかアルマジロが生まれたって。


 あまりにアマランタの拒絶が強いので、アウレリャノ・ホセは一時的に彼女を無視するという戦術をとるが、アマランタにとってはむしろ好都合だった。ふたたび、ヘリネルド・マルケス大佐のこと考えるようになった彼女は、以降、部屋の掛け金を下して部屋からアウレリャノ・ホセを締め出すのだった。



 ここのくだり、アマランタがアウレリャノ・ホセを拒絶するための言い訳がいちいち興味深い。法王様が許可すればいいのかとか、豚のしっぽ云々はブエンディア家にとって禁忌ではないのかとか、省略するにしのびないのでたくさんセリフを引用しました。

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