第6章

第24話 アルカディオは横暴に、アマランタは冷酷になる

136ページまで読んだ。


アウレリャノ・ブエンディア大佐が、革命軍と合流するためにマコンドを出発したのち、町は大佐の甥で町長兼司令官を任されたアルカディオが支配することになった。若いアルカディオは冷酷な支配者だった。若者を扇動して私兵を募り、町にいくつもの決まりを作った。保守派を弾圧し、自分を嘲笑ったといって町の人を銃殺した。保守派であった前の町長ドン・アポリナル・モコステとその家族もアルカディオの一党に襲われ銃殺されそうになったが、逆上したウルスラによって助け出される。


ウルスラはアルカディオの冷酷な仕打ちに腹を立てていて「そんなに殺したければ私を殺せば」といってアルカディオを鞭打ち、その暴走を止める役割を果たすのだった。年をとっても勇ましいウルスラだったが、内心では自分の不運を嘆いていた。


(ホセ・アルカディオはやくざな女狂いで、大人しかったアウレリャノも戦争に出かけてしまった。レベーカは婚約者を裏切ってホセ・アルカディオと祝福されぬ結婚をしたし、アマレンタはレベーカと男を奪い合って意地の悪い女となってしまった。とどめにアルカディオは冷酷な独裁者ときた)


彼女が愚痴をいう相手は、頭がおかしくなってしまったホセ・アルカディオ・ブエンディアしかいないが、暗い話をすると夫が悲しそうな顔をするので、ウルスラは嘘でも明るい話を聞かせるようになるのだった。


――アマランタがあのイタリア人技師と結婚しそうなの。


実際、レベーカに裏切られたあと、ピエトロ・クリスピとアマランタはその距離を縮め、結婚するのは間違いないと思われていたし、少なくともピエトロ・クリスピはそのつもりでプロポーズした。しかし、アマランタはすげなく結婚の申し出を断った。


――ばかなこと考えないで。死んでもあなたなんかと結婚しないわよ。


アマランタは、ピエトロ・クリスピがずっとレベーカに夢中だったこと、ふたりが結婚するはずだったことを決して許すことはなかったのだ。気の毒なのはピエトロ・クリスピである。ブエテンディア家の娘に二度までも結婚を申し込んだものの、どちらからも裏切られる形で断られたのだ。傷つき、恥をかかされたことを気に病んだ彼は自殺してしまう。ウルスラは彼の死に責任を感じ、アマランタは自責の念に一時精神を病むのだった。

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