第22話 戦争の不条理がアウレリャノを戦争にかりたてる
127ページまで読んだ。
アウレリャノは友人たち(ヘリネルド・マルケスやマグニフィコ・ビズバルら)からアリリオ・ノゲーラ医師を紹介される。アリリオ・ノゲーラ医師は、医者の看板をあげた自由主義を信奉する活動家だった。アウレリャノの友人たちも過激な自由主義者だったのだ。
アリリオ・ノゲーラ医師は、個人を標的にしたテロリストで、そのリストには町長のドン・アポリナル・モコステとその娘たちが含まれていた。アウレリャノはアリリオ・ノゲーラ医師の信条に賛成しなかったので、医師や友人たちから警戒されることになった。
アマランタとピエトロ・クリスピの結婚話が持ち上がったのはちょうどこの頃だったので、アウレリャノはそんなことを考えている時ではないと答えたのだった。
アウレリャノがシャツの下にピストルを忍ばせるようになってからしばらくして、戦争がはじまった。兵隊がマコンドにも現れて町を占領するとノゲーラ医師を探し出し銃殺した。ニカノル神父も兵隊によって殴り倒された。ほかにも罪のない女が兵隊によって殺された。戦争がはじまると、保守主義も自由主義も関係がなかった。占領から二週間たったある日、アウレリャノがヘリネルド・マルケスを訪ねてこう命令した。
――みんなに準備させろ。戦争に出かけるんだ。
これまでに聞いたことのない威厳に満ちた声だった。
――武器はどうする。
――やつらのをいただくさ。
アウレリャノと友人たちはマコンドの守備隊を不意打ちし、武器を奪い、女を殺した兵隊を銃殺した。ドン・アポリナル・モコステに代えて、アウレリャノの甥、アルカディオが町長兼司令官に任命された。
アウレリャノたちは、遠くの町に駐留する革命軍と合流するためにマコンドを出発した。アウレリャノが革命家アウレリャノ・ブエンディア大佐となった瞬間だった。
☆
ここが序盤のクライマックスではないかと思います。
「アウレリャノ・ブエンディア大佐」は、『百年の孤独』の冒頭に登場し、銃殺刑に処せられることが作中何度も示唆される人物で、その意味ありげな書き振りからこの物語のキーマンと思われるのですが、ここまできてはじめて「大佐」がアウレリャノであることが明らかとなります。
軍人としてなら、兄のホセ・アルカディオの方がふさわしいように感じますが、神経質で内向的なアウレリャノこそが「大佐」であったというのは意外でした。わたしはホセ・アルカディオのような粗野で無神経な男が嫌いだと書きましたが、逆に、繊細で神経質なアウレリャノのような男は応援したくなります。
いったい「アウレリャノ・ブエンディア大佐」はどういった運命を辿るのでしょうか。
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