第11話 マコンドに伝染病が蔓延する

66ページまで読んだ。



ウルスラは、レベーカとアマランタとアルカディオを世話をビシタシオンに任せることにした。ビシタシオンは伝染性の不眠症から逃れるため、弟と共にマコンドへやってきたインディオの娘だった。


不眠症を最初に発症したのはレベーカだった。ウルスラはビシタシオンがマコンドへきた理由を知っていたので、レベーカと家族を隔離したが、不眠症はアウレリャノに伝染し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアに伝染し、やがてマコンド全体に蔓延してしまった。


ホセ・アルカディオ・ブエンディアは最初、眠らなくて疲れないというのは結構なことだと言って喜んでいた。新しいマコンドには処理しなければならない仕事が山のようにあったからだ。しかし、街の人間が全員眠らなくなっまうと、仕事はあっという間に片付いてしまった。


伝染性の不眠症の恐ろしさは眠れないことだけにあるのではなかった。眠れないことに慣れてくると、やがて過去の記憶をなくし、物の名前と観念がなくなり、最後に周りの人間や自分自身のことまで忘れてしまい痴呆状態になってしまうのだ。


やがて街の人びとは物の名前を忘れるようになったので、身の回りのあらゆるものに名前を書いた紙を貼って回るようになった。そのうちその名前が何を意味するのがわからなくなったので、紙には長い説明を書かなからばならなくなった。


過去の記憶をなくしてしまった人びとは自分の過去を記憶を決めてくれる占いに凝るようになった。その占いをもっとも得意にしたのはピラル・テルネラだった。こんなでたらめなことが流行することに危機感を持ったホセ・アルカディオ・ブエンディアが記憶を止めるための装置の作成に取りかかったとき、マコンドをひとりの老人が訪れた。


ホセ・アルカディオ・ブエンディアを家を訪ねてきたその老人のことを族長はすっかり忘れていたが、老人の与えてくれたきれいな液体を飲んだ途端すべてを思い出した。その老人はマコンドに数々の文明の利器をもたらしてくれた老ジプシー、メルキアデスだったのだ。



このマンコンドに伝染性の不眠症が蔓延するくだりはとてもおもしろい。なにかの寓話のようにも読めるし、死んだと思われていたメルキアデスが現れて、不眠症の最終段階にあるホセ・アルカディオ・ブエンディアを救う箇所は非常にドラマチックです。

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