第33話

「お待たせー。ピザと、盛り合わせと、出汁巻きね。あとこれも作りすぎたから食べてー」




「ありがとうございまーす」




「おかわり持ってこようか?同じのか、レモンサワーとかどう?」




『じゃあ、レモンサワーで…』




「はいよー」




次々と料理がテーブルに並ぶ。




それをパクパクと平らげていく颯都くん。




その様子を見ながら、残りのビールを飲み干す。




「それで、ライブをどうしても客席で見てほしくてチケット取ったんですけど、振られまして。捨てる気でぐちゃぐちゃにしちゃってたのをポケットに入れてて…」




”彼”の声が心地よくて、耳を傾けていた。




2杯目を飲み終える頃には、視界が揺れて、瞼が閉じそうになっていた。




「未緒さん?」




『ん…?』




「眠いですか?」




『ちょっと…。いや、大丈夫』




弦さんがタイミングを見計らって提供してくれていた、3杯目に手を付ける。




ひんやりした感覚で、目が覚める。




「お酒、強いんですね」




『普通だよ。』




「なんか…未緒さんて、年上だけど、あんまり年上感ないですよね。可愛い系?」




『え!……あんまり、年の話はしないで…』




「はーい。あ、でも3月に僕20歳になるので、そしたら一緒にお酒飲みましょー」




『えぇ?!…ほんとに?』




「ふはっ、やっぱり、酔ってます?(笑)」




3月誕生日で、20歳になって、一緒にお酒飲もうって、情報量が多すぎて、思わず声が大きくなる。




もともとタメ口で話していたものの、お酒が入ってさらに口調が砕けてしまっている。




…こういうとこが年上っぽくないところなのかもなぁ…

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