第26話
彼が一目散に向かったのは、リップが有名なブランドだった。
店頭の一番目立つところにリップがずらりと並んでいるのが印象的で、気になるのもわかる。
『リップはいくつ持っててもいいよね』
「そうなんですね。未緒さんはどの色が好きですか?」
『私だったら…あ、この色とか。ちょっとダークみのあるブラウンっぽい赤が好きなんだよね』
「ブラウンっぽい、赤…なるほど」
テスターを手に取りながら真剣な表情を浮かべる。
もちろん、今日も帽子とマスクであんまり見えないんだけど…
『好みとか、服装とか、雰囲気とかで色のイメージは変わるから……。プレゼント渡す人ってどんな雰囲気なの?』
メンズに化粧品を選んだ経験はないので、とりあえず当たり障りのない質問をしておく。
メンズだったら、リップよりベースメイクの方が使いやすそうだけど…
「んー……。あんまり化粧っ気はなくて、さっぱりした感じ?鼻筋が通ってて、綺麗系…ですかね。眼鏡かけてて、大人っぽいです。髪の毛は…ロングだけどいっつもひとつにまとめてます」
彼が頭の後ろで、手でグーを作ってポニーテールの仕草をする。
その手が、パーカーのフードまでするりと落ちる。
ポニーテールがそこまで長い……
『…あの、もしかして、プレゼントあげる相手って…』
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