第22話

『はい、西折です』




「…ふは、ははっ。お堅いですね」




『あ…ごめん、さっきまで仕事してたから、つい』




こそこそと話しながら、人のいないスペースを求めて、非常階段へと向かう。




「今昼休みですか?電話、大丈夫?」




『うん、大丈夫』




「あの、プレゼント買いに行く日なんですけど、土曜の夜空いてませんか?」




よかった、平日じゃなくて…




平日だったら、確実百貨店閉まってるもんなぁ…




『土曜、いけるよー』




「よかった。18時に新宿でどうですか?」




『うん、大丈夫』




「じゃあそれで。寒いと思うんで、お店の中で待ち合わせましょ~」




のんびりとした穏やかな声が、耳元で聞こえるのが心地いい。




土曜日にまた会う約束をして、電話を切った。




何着ていこう…?




気づけば熱々の真綾のコーヒーが少し冷めているような気がして、急いで戻ることにした。

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