第2話

「なぁに、今日デートなの?」





『ふぁ!遥さん!!ちっがいますよ…おとなしく直帰です』





「えぇ~つまんない」





隣のデスクからひょっこり可愛らしいお顔をのぞかせたのは、3年先輩の木戸 遥(きど はるか)さん。





アラサーとは思えないつるつるのお肌にゆるく巻いた髪、綺麗な形のシャツにおしゃれなカーディガンを肩にかけてて、まさにファッション誌の編集者という感じ。






「そういえば、彼氏くんとのツーショット、撮ってきた?」






『撮らせてくれないんですもん。写真、嫌いなんです』






「ほんとに?実はこっそりフォルダにまとめてたりしないの?」






『しないです。あ、ほら、もうこんな時間ですよ。遥さん今日デートですよね。彼氏さん待ってるんじゃないですか?』






「…むぅ、仕方ない。今日のところはここまで…。また月曜日ね」






『お疲れ様です』






彼氏さんからもらったというパスケースを鞄から取り出し、書類をまとめて立ち上がり、手を振ってくれる。






ほんと、可愛らしい人だなぁ…







タイミング良く、遥さんが部署を出ていった後にプライベート用のスマホが震える。






バレないように、資料で囲って画面をチェックすると、そこには愛しい人の名前が。

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