第59話

私は大学生になってから、数人の友達も出来て楽しく過ごせていた。



元の私を知ってる人もいないし、自然と声をかけられていくうちに人の輪が広がっていったんだ。



スマホにメッセージが入って、ロック解除したら穂谷からだった。


またチケ買ってだと思ったら案の定的中。



「またか…」


でも、やっぱり興味あるし、友達に穂谷のファン(?)もいるから二枚買うと連絡を入れた。



あれからメンバーとは切れてしまったけど、穂谷とは唯一繋がっている。


賢人は地元に残って就職して、悟も地元近くの大学に通っているから、接点は皆無。



穂谷は東京こっちに上京して、変わらずバンド活動もしてるから誘われるようになった。



『ミナは?ライブないの?』


ワクワクしてそうなスタンプ付きでメッセージが来る。



「ありますけど、内緒です。例の覆面なんで」


『キターーーーー!覆面キタ――!今度何?お馬さん?豚さん?』


ちょっと!今までだってそんなのしたことないし!


「ふつうにマスクと帽子で隠すだけだよ」


『それ普通じゃないから。隠してる時点で怪しいから。んで、今度は何系バンド?』


「エモっぽいの」


『うん、わかった。見に行くから』



内緒だって言ってるけど、穂谷はかなりの確率で探し当てる。

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