第45話

「ハッキリ言えや、お前のイケメン兄ちゃんを誘惑してこっびどくフラれたって」


「――――え?」


いつの間に・・・そんなことが?


「うっさいわね!!どうでもいいんだよ!あんな顔だけ男のことなんて」


「ぶっはははは!あんたも災難だったね。八つ当たりみたいなもんさね。それがバレて賢人くんと別れる羽目になっちゃったんだよ。んでお嬢はむしゃくしゃしてるってわけ」


「え?」



賢人と別れた?

そう言えば、あれから練習見に来てないなとは思ったけど…。


でもさっきデート時間がどうのこうのって・・・。



「別れてないもん!!まだ正式には!」

「無視されてんのは立派な拒絶だから。だから俺にしとけって言ってんじゃん」

「うっさい!黙れ!乞食!」

「あっはは、ひっでぇな乞食だって。ちゃんと仕事してるっつーの」



私の心情なんて関係なしに二人の会話は続いていく。


私は隙を見て男の腕から逃れて、バカ女に飛びついた。



「どうしてくれるのよ!!もう買えないのよ!これは!これは!!大事な物なのに!どうしてくれるのよ!!」


「だから!お金あげたじゃない!新しいの買えばいいでしょ?!なによ、全く。そんな大ごとに騒ぐことなの?」



そう言う事じゃないんだよ!!!


憎らしくて腕を振りかぶる。


言っても分かんないやつは殴るしかない。


「おーっと、手ぇ出すなって」


再び金髪の男に羽交い絞めされた。


私に押し倒された女は、オイルの匂いがついて最悪だとかなんとか呟きながら立ち上がった。

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