第32話

出演順番は予想通り、トップだった。


ってことは、一番最後に”リハ”するってことだ。



ちなみに・・・


このリハっていうのは、本番さながらに演奏してみる…とかではない。



客に向けているスピーカーや、自分たちに返す音を調整する”PA卓”を操作する人との打ち合わせみたいなもの。



例えばドラムは人によって出す大きさが違う。打面の角度、振りの大きさ、ストイックに出すのか、ワイルドに叩くのか。


それをPA担当の人が見極め、最善の音質へと変えていくんだ。


ギターやベースは、エフェクター配線の不備がないかを調べるため、作った音が踏んで切り変わるかどうかの確認もしなくちゃならない。



勿論、自分たちに返って来る音の注文も忘れてはいけない。


ギターの音を多めに下さいとか、ベースはもうちょっと下げて下さいとか…。



なんせ、観客に向けている方の”外音”が大きいものだから、中をちゃんと整えておかないと、それぞれワンテンポズレた音を聞きながら演奏してしまう羽目になる。


そうなれば、もうぐだぐだになること間違いなしだ。


それを解消するために”In-ear monitor=(通称)イヤモニ”というものがあるのだけれど、高校生の私たちが持てる品物じゃないんだ。




楽器を調整しながらリハの出番を待っていた。


・・・・でもさ・・・このバンド、練習してない?



普通音出して、おもいついたことあったらさ、演奏止めてこっち下げてくださいとか、自分の音上げてくださいとか?

になるはずなのに・・・、一曲通して終わっちゃったよ…。



出演者・・・多いからな。


有名どころはそういうところ分かって手短にしてくれるけど、中にはこんな人らも居る…。



そんな中、少し青ざめたような表情をした賢人に集合をかけられ、みんなで外に出た。

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