第26話

新曲は3曲あって、だいぶ固まってきた。


パッとしないって言われるから、それなりに賢人好みの音も入れたら、案の定気に入ってくれたのか、歌う声に張りが出るようになった。



でも、これで終わりではない。曲っていうのは生き物だと思ってる。


同じ曲でも演奏するたびに変化していくものだと私は思うから、いまいちなところを探っては、もっと良くするにはどうしたらいいのかと、ない頭を絞っていた。


一人ですることもあれば、メンバーたちと相談したりする。


作曲者の意見も取り入れたりね。



放課後は勉強しつつも週に三回くらい集まって、部室やスタジオに入ってたりしていた。



「ねー、賢人ってば~」「穂谷くぅ~ん」


学校で練習の時は、もれなく賢人とギターの穂谷の彼女さんがついてくる。

ってかさ、そのいちゃつき何とかならんか、君たちよ。

彼氏に甘えたいのはわかるけど、二人きりの時にしてくれよ。


それとも、わざと見せつけてんじゃないでしょうね?


それだったら、本当に迷惑。話し合いが前に進まないんだが…。



なんか―――いや、だいぶ?やりづらいよね。


バンドメンバー以外の人に、見られながら曲を詰めていくのなんか恥ずかしいし。


流れが決まった後の練習ならさ、全然いいんだけど、作ってるところを見られるのはどこか恥ずかしい。

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