第19話

「ありがとう!お兄ちゃん!」


嬉しくて飛びついたら、少しだけ口元を緩ませてくれた。



「まだこれ使ってんのか?」


「うん。だって一番足にしっくりくるんだもん」


「そうか・・・・」



最後の仕上げをして、スプリングをひっかければ完成。


手で押して前後に振れるピーターを見る。


良かった、さっきみたいにガクガクしていない。



海生兄がイタズラ心が湧いたのか、片足を上げペダルを踏む。


そうすれば、ピーターは本来ならばあるはずの打面が当たる位置をとびこえて、枠に固定させるためのねじへとぶつかりカチャカチャと鳴っていた。



「やめてって、壊れちゃうよ」


「フン、ちゃんと直ったのかどうか確認してるの」


「絶対ウソだ」



そのままカチャカチャし続けて、足を離した時に勢いよく跳ね返ってきたピーターがすねを直撃する。



「イッテ!」


「アハハ!罰あたった」


「んだと、このやろ」


「キャーお兄様に襲われる~」



そんなおふざけをドタバタとしていたら、おばあちゃんがニコニコで部屋に入ってくる。


「ミヲ、ごはん食べなさい」


「うん、ありがとうばあちゃん」



私たちにとっておばあちゃんは特別な存在。


父方の祖母は若いころに亡くなってしまったから、私たちにはこのおばあちゃん一人しかいないんだ。

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