第17話

あともう少し・・・・と思っていた時に入るメッセージ。


何だと思いスマホを手にしてみたら賢人からだった。


バンドの方のグループLineを開き、書き込みを読む。



”速報!deep crimsonのイベント誘われた!定期演奏の一週間前!各自準備と心構え宜しく”


「えーマジで!」


deep crimsonって言ったらここらでは結構ライブを企画している人たちじゃん。


この間も白石区のイベントに参加してて、見に行ったのは最近のことだった。



「あーまじかー…。会場は地元なんだ―…。札幌じゃないんだ」


どうしよう、もう本決まりみたいな書き込みだよね?



高速バス乗ってけば2時間弱でつくところだけどさ…。


札幌市以外のライブに赴くことは、お兄様に禁じられている。


スマホで私の行動は全てお見通しなのだ。



過保護兄さんにバレないように行く?


あ!スマホここに置いていけばいいじゃん!



「日帰りだし、バレることもないか!」


おばあちゃんにはお友達と遊びに行くとか言って、夜に帰ってくればいい。


きっと出番も初めの方だろうから、後のことは男どもに託して自分はさっさと帰ってしまおう!



そうすればお兄様にもバレることはないだろう。


よしよし、きまり!


”りょーかい!”


そう返事を書き込んだ時だった。



スマホの画面に私以外の影が差したのは。



思わずそのまま固まる…。私以外にはおばあちゃんしかいない。


でもおばあちゃんなら、何か一言声かけして入ってくるはずだ。



それに・・・・影の大きさを見れば・・・・これはおばあちゃんじゃないことは明らかだった。



「へぇ~…俺に相談もなしに『りょーかい』なんだ。————へぇ~」



ああ、神様仏様…。


どうしてこのタイミングで兄様をよこすのですか?



「———い、いらっしゃ~い、ミヲニイ―――( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \・・・」



顔おあげれば深めのブロンド髪で、容姿端麗な麗しい兄様が、チャームポイントであるはずの茶色のおめめを細めて、わたくしを冷ややかに見下しておりました…。

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