第16話

道具箱からチューニングキーを出して、せっせとねじを回してばらしてく。


付属の六角も使って丁寧にねじを回し、小さな部品も無くさないようにと心がける。



「あらら・・・きたな。これじゃあ変にもなるわ」


負荷がかかって大きな故障につながる前でよかった。



なんせこのペダルは海外メーカのレトロものなのだ。きっと部品なんて普通には売っていないだろう。



今の時代、フットペダルはがっしりと土台にくっついてしまっている。


私はあの形が好きではないのだ。土台で固定されていない方が、私はパフォーマンスの幅が広がる。


足をあげた時にペダルが足裏についてくるあの感じ、あれがないと気分がのらないんだよね。


勿論、土台についていないタイプもあるけどさ、お値段がとんでもないんだ。


天地がひっくり返っても、高校生の私が買っていい物ではない。


楽器屋さんで注文しようものなら”てめえみたいなガキンチョが・・・”と睨まれること間違いなしだ。



だからこれを何としてでも死守しなければならないのだ。



「いつの時代w」って地元の先輩に笑われていた。


「新しい時代を受け入れないと、痛い目見るぞ」とも。


でもさ、こればっかりは辞められない。


要は大事にすればいいんだよ。



ばらしたパーツを乾いたウエスで磨き上げ、丁寧に組み上げていく。


こうやってキラキラと電飾の光を浴びてくれば、なお一層愛着が湧いてくる。

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