第14話
音は言わずもがな最高でした。
くぅ~、いいわ、本当にいい音。
自分の技量が格段に上がったように聞こえるくらいいい物だ。
「いいな~、その”能力”をダイレクトに聞けてさ」
「え?———あ、そっか」
前に聞いたことがある。アンプ類は国別に電圧の違いがあるから本領発揮出来ないんだって。
「こいつの生まれ故郷に行ったら、どんなにいい音すんだろうな」
「聞いてみたい?」
「聞いてみたいってか…。音源は聞いたことあるからさ、自分で鳴らしてみたいな。———なあ、三波はこのアンプの生まれ故郷でライブしたいって思わない?」
「思う。めっちゃ思う」
耳が肥えてそうな人らの前でライブするのは少し怖い気がするけど、それでもやってみたい。
「凄いらしいよ。ちょっとした小さなライブハウスでも全然違うらしいよ響きが」
「行ってみて―な、憧れるヨーロッパツアーとかよ」
「うんうん!憧れるよね!」
やっぱり悟とは気が合う。
目立たなくてもいいからそんなステージでやってみたいな~。
「まあでも、まだまだだよな、俺たち」
「うん、だね」
「こっから始めような」
「うん、どっちが先に立てるかな?」
「————俺だね」
「じゃあ、競争だね」
どっちが先に立てるかだなんて、今の私たちには大きすぎる夢だった。
でも、小さな夢からコツコツと。そうやって地道に努力を重ねていけば、いつかはそんな舞台に立てると思っていたんだ。
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