第2話
「このユニフォームを着るのも、今日が最後なんだよな」
みんなで着替えている時、雅志がぼそっと言葉を漏らした。
その言葉に、それぞれが自分のユニフォームに目を落とす。
俺は5年の二学期からだから、皆よりは愛着が少ないのかもしれないけど。
それでも、いろいろな思い出が詰まってる。
「中学のユニフォームって、どんなんだろうな」
公輝が隣にいた栄司に声を掛けると、アイツは少し浮かない顔をしていて。
何だか、返事に困っているようだった。
「どうしたんだよ、栄司。何か暗いけど?」
ユニフォームから私服へと着替えながら、春也がそう尋ね。
その問いに、栄司は躊躇いながらも口を開いた。
「俺…中学は野球やらないから」
「えっ?」
「何でっ?」
皆から次々に驚きの声が漏れる。
実際俺も、予想外の事に驚いていた。
「実はさ、肘…壊してるんだよ。野球肘ってやつ」
そう言って栄司は、左手で右の肘に触れた。
野球肘。
少年野球をやってる奴に多い、肘の病気。
過度に肘の靭帯を曲げ伸ばしする事や、投げ方が悪かったりする事からくる肘の痛みだ。
それを栄司がやってただなんて……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます