第24話

そうして一緒に食べ終わって、デザートのジェラートを出す前に、私は食器を洗っていた。


坂井さんはソファでTシャツにジャージ姿で素足。昨日から髭を剃っていないのか、無精髭が少し伸びている。ほんとに、見るからに不審者みたいだ。ホントに刑事なのかな?←まだ半信半疑


「文句言いに来たんなら、帰れ。それがいやで病院出てきたのに。自分のことは自分で出来る」


「へぇ。その割には残さず全部食べたのにね」


食器を洗い終わって、やっと手を洗ってタオルで両手を拭くと、坂井さんに振り返り歩み寄った。


「カレーは大好物。めっちゃ俺好みの辛さだった!最近俺の好物把握してきたろ?」


「べ、別に。私も辛いの好きだし、好みが似てるからってだけよ」


「雪子、コーヒー飲みたい」


「は?今?」


「今!あっついコーヒー飲みたい!」


横柄な態度に私は呆れて、またキッチンに向かった。いつも唐突だし、勝手なんだから。少し座りたかったのに。コドモなの?おじさんなのに中身は子供なの?!


キッチンカウンターにある戸棚にインスタントコーヒーが入っていることは、すでに熟知している。


私は背伸びをして戸棚の上からインスタントコーヒーの瓶を取った。


「それにしても、事故のこと早く教えてくれたら良かったのに」


私はそう言って、少しムッとしたままインスタントコーヒーの瓶の蓋を開けて、マグカップを2つ並べてコーヒーをスプーンで2杯ずつ入れた。


「言う必要ねぇよ。祐たちには偶然知られたから言っただけだし。面会とかめんどくさいだろ」

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