第22話

私はウンウンと頷いていると、祐さんは私を見つめて、


「滋は一番ピュアなのかもな。運命の人か。何処かにいるかもしれないし、もう出会ってるかもしれない」


と言うと、美夜も微笑んで祐さんを見上げて、その腕にしがみついた。そんな美夜ちゃんが可愛いと思う。そして、滋よ。この人を見習いなさい。この優しい大人を。祐さん、なんて素敵な大人なの…!!


「よし。じゃ、今夜はうちで鍋パしよっか!」


範子おばさんが何故か仁王立ちで言うと、滋と私は同時に範子おばさんを見て、


「だから、何故お祝いに鍋パなの?!」

「だから、なんでこの時期に鍋パなんだよ!」


と声を揃えて言うと、範子おばさんは声を上げて笑った。滋と祐さんと美夜ちゃんも顔を見合わせて笑い合っている。


私は、そんな範子おばさんの存在が本当に嬉しかった。この人のおかげで、今まで寂しいなんて思うことは一度もなかったから。私のもう1人の母親。そう、思っている。ダメな時は他人とはいえ構わずに叱咤してくれる人。


ふと、私はキョロキョロ辺りを見回した。すると、祐さんが気がついたのか、


「あ、坂井さん探してる?」


と訊ねてくると、私はパッと顔を上げて祐さんを見つめた。


「え?べ、別に?」


「ふぅん」


祐さんは、何か怪しんでいるように私を見て、微かに笑っている。私は祐さんから目を逸らして俯くと、滋が「あ、坂井さんね」と呟いてため息をついた。


「坂井さん、一昨日犯人を追ってて、ちょっと事故ったんだよ」


と滋が言うと、私は驚いて滋を見た。


「え?!事故?!」

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