第11話
掃除は好きだ。自宅でも私は掃除と洗濯を進んでやっている。両親はそういうこと、絶対しないし。時間がないのもあるけど。
坂井さんは、どういうつもりで私を呼ぶんだろう。会ったついでだから、掃除を頼んだだけなのかな。まぁ、女として私のことは見てないだろうけど、部屋に女連れ込んでるこの状況、他人が見たら間違いなく『彼氏彼女』だよね。
洗濯機を回して、乾燥機にかけることにする。ダイニングは掃除機をかけて、ちゃぶ台の上にも一つも物を置かずにアルコールで除菌して拭き上げた。ふと、ソファで青年マンガ誌を読む坂井さんを見ると、坂井さんはそのまま横になって眠ってしまっていた。
「えぇ?!寝る?こんなに掃除させといて」
私はそう言いながら呆れていると、
「ヘックチッ!」
と坂井さんがへんなくしゃみをしたので、私は思わず吹き出して笑ってしまった。日が暮れたから少し冷えるのかな。そう思って寝室を覗くけれど、ブランケットなんてここにはなさそうで、仕方なくバスルームに行き、大きなバスタオルを持って坂井さんの上に掛けてあげた。その時、坂井さんの寝顔をじっと見つめていると、ふと坂井さんは薄目を開けて私を見た…ような気がした。
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