第2話

そんな彼を恋愛対象として見ることができる自分のことが、改めて凄いと思ってしまう。なかなかのダメンズなのに。私が18歳だと、彼は13歳も年上なので31歳。おじさんでしょ…。並んで歩いたら、もう援交にしか見えないでしょ。改めて、思い返してみる必要があるのではないだろうか。そもそも、出会ってすぐに恋に落ちたわけではない。その間に憧れていた人もいたし、向こうにもおそらく彼女がいたのではないだろうか。


ならば、一体、何故…?


……疲れるので、やっぱり彼の話は少し後回しにしよう。




私の両親は相変わらず共働きで忙しいから、学校の行事には殆ど参加したことはない。


父親は外資系、母親は料理研究会の執行役員を務めていて、テレビや雑誌に引っ張りだこ。私は一人っ子なので昔から家でいつも一人きりだった。


そんな私を心配してくれたのは、両親の高校時代からの友人である佃島範子さん。近所に住んでいて、旦那さんとは早くに死別して、一人息子のしげると二人暮らしをしている。自宅兼の小料理店を営んでいて、私は範子おばさんにいつも店に連れてきてもらって、ご飯をご馳走になることが多かった。


滋は一つ年上で、範子おばさんの計らいで仲良くなっていった、俗に言う『幼馴染み』というものだ。初恋は、確かにこの滋だったかもしれない。滋は女の子に優しくて、男の子の友達も多く、クラスの人気者だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る