第3話 小説『物語シリーズ』との出会い
私は中学三年から高校一年までの春休み中に、漠然と小説を書こうと考えていました。高校に入りすぐ、私はそれを実践しました。けれど、当時の私は途方もないバカで、確か三百文字書いた程度でアホ程喜んでいた記憶があります。
内容は、二人の兄妹が中世の路地裏を喋りながら走っていると言うシーンです。
そう、ただのシーンなんです!
当然、そんな物が小説なんて到底言えませんが、当時はちょっと書けただけでめちゃくちゃ嬉しかったのです(諦め)。
当時の私はそれで満足したのか、夏休みに入るまで小説を書くことはしませんでした(書いたとしても、それは絶対に小説の形をなしていなかったでしょうが)。
高校一年の夏休み。私は以前から気になっていた『物語シリーズ』を愚物語まで一気買いし、夏休み期間中読み漁りました。
今までで読んだ小説の中で一番おもしろい。そう思った記憶があります。
これがサード・インパクト。私が小説家に成りたいと思ったきっかけの作品です。
それから私は小説の形にもなっていない、未完の短編を何本も仕上げるという無駄なことを楽しげにやり初めました。
12月。冬休み前のことです。学校で進路希望調査なるものが行われ、なんとそこに『将来の夢』の欄がありました。
私はここに小説家と書いたら絶対に小説家に成らないといけない、という脅迫概念に惹かれながら、そこに『小説家』とハッキリと書いてしまいました!
ああ、なんと勇敢なることか。一度も小説を完成したこともない、いや、小説を書けたことがないというのに、どうしてそのような決断が出来たのか!
その決断は五年も経った今に到っても強く記憶に残り、尾を引いています。
その後、私はまた愚かな行為に出ました。その年の冬休み明けに、冬休み中に書いた小説とし称して、自分の書いたモノを担任の先生に提出したのです!
もちろん、その小説は未完であり、文字数も三千文字程度です。先生も忙しいため普通はそのような物を受け取らないはず――なのですが、なんと担任の先生は新任でありこれが初めて持つクラスだったのです。なので、嬉々として私の小説にも満たない駄作を受け入れてくれました。
私は大いに喜び帰路につきました。
次の日だったか、先生が私の書いたモノを私に返してくれ、「面白かったよ。続きはあるの?」とそのようなことを訊いてきました。
私は「面白かった」という言葉に異常に喜び、また「続きはあるの?」という言葉に「何言ってんだこいつは。続きなんてあるわけ無いだろ」という感想を持ちました。そう、私は小説が完成していないことに気がついていなかったのです。ああ、悶絶するほど私はバカでした。
しかし、そのような発言をするわけもなく、「続きは書けたら書きます」程度の受け答えをしました。
そして、私はその「続き」を持って行く代りに「新しい未完の作品」を先生に提出しました!
馬鹿です!大馬鹿です!
しかし、先生は喜んでそれを受け取ってくれました。
そのようなやり取りが、春休みになるまで続きました。
ああ、あの頃の思考力の無さを罰したい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます