第8話 必要とされる素質

 いろいろな手を使い、ようやく回天堂の個人アドレスをワタシは見つけ出した。

 やる前はちゅうちょしていたが実際にはそんなに難しいことではなかった。

 でも、バレたら他の人に迷惑がかかるから、この手を使うのはこれっきりにしておこう。

 とは言え、さっきまで縁もゆかりもなかった人に相談しても聞いてくれるかが不安だった。

 しかし、実際には彼女は何も聞かずに、1つの回答をくれた。

[わたし、……と言うかわたし達は、ある実験で生まれたの。]

 回天堂が話すその話しは驚きとともに人間の愚かしいまでの探究心の話しだった。

 その結果、多くの同胞を失い生き残った自分たちでさえ色々と問題がある状況だった。

 そんな中でも彼女たちは生きることを選び、今はそれなりに楽しくやっているという。

[まぁ、仕事を無理やり押し付けてくる姉妹には参るけどね。]

 端末のモニター越し、照れ隠しなのかそう言って笑う彼女の笑顔がどこか寂しく見えたのはワタシの気のせいだろうか……。

[とりあえず、わたしは今回の件の決着をつけに行くけどどうする?]

 考え込んでいるワタシに彼女問いかけてくる。

 この件、ワタシの知らないところで進んでいたとは言え、無関係ではない。

 だから、ワタシの答えは決まっていた。

「着いていきます。」

 そう端的に答えたワタシに[わかったわ。]とだけ返答が有った。

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