第6話 ヨカケシノブの影

「ああ……。」

 わたしは取り乱した。

 どうすればいい?

 どうすれば自分を取り戻せる?

 『ヨカゲシノブ』はわたしなのに、どんどんと離れていく。

 傀儡舞によってわたしは姿を奪われたんだ。

 この身体は檻だ。

 そこから抜け出せるチャンスをわたしは奪われたんだ。

 出してくれ、出してくれ。

 この狭い世界カラダを打ち砕けるなら何でもしよう。

 欺瞞に満ちた世を脱せるのなら、この身セカイを捧げよう。

 だから、だから、だ、か、ら!

 『ヨカゲシノブ』をわたしに返して。

 ネットで脚光ひかりを浴びるあの虚栄を剥ぎ取って。

 『ヨカゲシノブ』の影を消し去って。

 わたしが『ヨカゲシノブ』なんだ!

 『ヨカゲシノブ』はわたしなんだ!

「……あなたなら分かるでしょ?」

 振り向きざまにわたしは問いただした。

 そこには回天堂の社員が立っている。

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