第66話
翌日、理科の授業の前に、玲蘭が机の下から教科書を取り出すと、落書きがされていた。
生徒会長辞めろ
ビッチ
など、書き殴られていた。
「あーっと!雨宮。ついにいじめまで始まっちゃった系?」
「カワイソー!!」
有澤と入江がニヤニヤ笑って言ってきたので、玲蘭は2人を睨んだ。
「なんだよ、その目。」
「ちなみにそれやったの私たちじゃねーからな。」
「おまえ、元々友達にも嫌われてたんじゃねーの?ウケるー!」
玲蘭はわかっていた。
この文字が、他の誰でもない、さくらの字だということも。
見た瞬間わかった。
有澤たちにいわれなくても、わかっていた。
怒りとか悲しみとかが混ざり合って体が震えた。
山飼が入ってきて、伊織たちもダルそうに入ってくる。
チャイムが鳴り、日直が号令をかける。
山飼はいつも通り、隣のクラスに迷惑なくらいの勢いで板書を始めた。
「では先日の宿題の答えをこの列の者に聞いていこう。
問1 a は橋田。」
「アです。」
一番前の列の生徒から答えていく。
玲蘭の番になった玲蘭は構える。
「次、松原。」
山飼は後ろの子を指した。
玲蘭と松原くんは狼狽える。
「に、200mlです。」
彼はその問題で当てられると思っていなかったので、慌てて答えた。
クラスが若干ざわつく。
「どうした?」
「先生、雨宮さん飛ばしたよ。」
前の席の平山さんが指摘すると、山飼は一瞬ニヤニヤした。
「あぁ、そうだったな。」
わざとだと、わかるような対応に玲蘭の目の奥が熱くなった。
「次はこっちの列当てるからな。はい次、石山〜。」
すると、伊織が机を蹴っ飛ばした。
「なんだ、朝比奈。」
「てめぇ、わざとやってんだったら最悪だな。」
「人聞き悪いな。誰がそんなことするか。」
「俺と噂になったからか?あ?」
「まぁ、成績優秀、品行方正のはずだった雨宮が、不純異性交遊をするとは、甚だ信じがたいが、おまえみたいなクズに影響されてるとしたら可哀想な話しだな。」
「だから、授業中にわざわざ無視すんのかてめぇは。」
「おまえみたいなのと関わるとろくなことないぞっていう意味もこめてだ。ダメな人間は一緒に腐っていく。」
さりなも立ち上がった。
「なにそれ。考え方が大昔の学園ドラマじゃん。古すぎ。」
「うるさい。まったく5組はロクな生徒がいない。」
「先生、そんな人たちに合わせていたら、私たち受験失敗してしまいます。無視してください。」
さくらが真顔で言う。
「中山、てめぇ最悪だな。」
伊織に指摘され、さくらは黙った。
「中山の言う通りだ。バカはほっといて、授業を始める。」
伊織は乱暴に席に座り、足を組んだ。
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