第64話

翌日、伊織は13時にスタジオに顔を出した。




「伊織!おはよ。」




さりなは嬉しそうに、立ち上がった。




そして洋一の顔を見る。




洋一は頷いてグッドポーズをする。




「さりな、洋一..................楓。






悪かった.................。」






頭を下げる伊織に3人とも驚いた。






「なに謝ってんだよ。いいよ。なぁ?」






洋一は楓に同意を求めた。





「まぁ、いいんじゃないの?」





楓の相変わらずの態度に、洋一はため息をつく。




「俺は全然オッケーだから!な、さりな。」




「うん。」




「あの曲、誰が書いたの?詞。」




「さりなだよ。」




「すごく、あの詞に救われた。俺は、大切な人まで、傷つけてしまうところだった。




ありがとうさりな。




これからどうしていったらいいか、あの歌に教えられたような気がするよ。」





「タイトルがね、決まらなかったの。


だけど、私たちのバンドの、新しい一歩になって欲しいから、Ailes de rêveにしたんだ。」




「いいじゃん。すごく。」




「よーし!じゃあ、新曲を引っ提げて、対バンも盛り上がっていくぜー!!」




「おー!」




洋一とさりなは拳をあげた。




さりなは伊織の顔を見て、微笑んだのだった。

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