第七話 愛しくて苦しい

第61話

玲蘭が家に帰ると、母と父が帰宅していた。

そして、志穂も。



「おかえり、玲蘭。どこ行ってたの?」



「ちょっと駅前のカフェに。」



「ご飯、食べましょう。伊織くん、呼んでこないとね。」




「私、行ってくる!」




志穂は2階に駆け上がる。




夕食は、カレーだった。




久しぶりの母の作ったカレーが美味しく感じた。




伊織がしばらくすると降りてきて、玲蘭の隣に座る。




「いただきます。」




「伊織、そういえばさっき、駅前で楓くんに会ったよ?」



「あ、そう。」




「大きくなったね、って言ったら、小さくはなりませんよ、って言われちゃった。」




「ふーん。」




伊織は父親の話を素っ気なく聞いた。





「どうした?最近仲良くしてないのか。」




「別に。」





触れられたくないのか、伊織の反応は冷たかった。





「ご、ご馳走様。先にお風呂貰うね。」





玲蘭は席を立ってシンクに食べ終わった食器を入れに行った。





部屋に戻ると携帯にメッセージが2.3通入っているのに気がついた。




奈々と似奈からの生徒会の話とさりなからの初メッセージだった。




玲蘭は先にさりなにお礼のメッセージを返した。





お風呂の用意を持って一階に降りていくと、母と慎也が二人で仲良く皿を洗っていた。





その姿を見て、玲蘭はさらに、伊織への想いを断ち切らなくては、と思うのだった。

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