第58話

伊織のことを愛おしく感じるが、なんか違う気がする玲蘭は、一瞬、伊織を拒否した。





「玲蘭。」





「やっぱり、ダメだよ。」






その時、家のチャイムが鳴る。





「俺、出るわ。」





伊織は服を着て、玄関へ向かった。





玲蘭も乱れた服を直して、出かける準備をした。





玄関では、楓が来ていた。

伊織は舌打ちをした。





「なんだよ。こんなとこまで来て。」





「ちゃんとおまえと話がしたい。」





「話すことなんかねぇよ、帰れ。」





「おまえと、音楽をやりたい。だけど、今のままではしたくない、それだけだよ。」




「どうしろっつーんだよ。」




「雨宮との関係を辞めろよ。」




「そこまでおまえに俺のプライベートを指示されるいわれはない。」




「いいと思ってるのか?妹なんだぞ?」





「うるせぇ!!」




伊織は心の突かれたくない部分に触れられ、怒りを露わにする。





「よく、考えろよ。誰も幸せにならないじゃないか。雨宮だって、傷つけるんじゃないのか...。じゃあな。」






楓はそれだけ言って立ち去った。






伊織が家に戻ると、玲蘭は玄関にいた。




「玲蘭.....。」




「ちょっと、出かけてくる。夕方までには帰る。」





玲蘭は慌てて家を出た。





頭をお互いに冷やさないといけないと、感じたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る