第55話

家に帰ると、玲蘭がいた。

大きな音を立ててしまったので、玲蘭はびっくりして恐る恐る部屋から出てきたように見えた。




「伊織?どうしたの?練習もう終わったの?」



「いや、その。」



「伊織!すごい怪我!どうしたの?すぐに、救急箱......。」




玲蘭がリビングに下がろうとすると、伊織が腕を掴んだ。





「玲蘭、もう、いいんだ。俺は玲蘭以外、何も要らない。」




「どういうこと?何、急に。」




「玲蘭が欲しいんだ。」





玲蘭は首を振る。





「ダメだよ。伊織。私たち、兄と妹なんだよ。」




「血は繋がってない!」




「でも、ちゃんとお父さん、私たちを養子縁組に入れたのよ!ダメ!」




「玲蘭の本音は違うでしょ?」




玲蘭の心を揺さぶる伊織。




「ほら、即答できないじゃん。」




伊織は玲蘭の手を取り、また部屋に連れていった。



「玲蘭......好きだ。」



「伊織......。」




伊織の瞳に流されて、玲蘭はまたキスに応じてしまう。



長くて、優しいキスに玲蘭もそのまま流されて腰をベッドに下ろしてしまう。




伊織は汚れた服を、脱いで床に捨てた。




玲蘭をベッドに押しつけて、玲蘭の服に手をかける。




「伊織......。」



「もう、俺は玲蘭だけいればいい。」




自暴自棄になっていると玲蘭にもわかった。




「伊織、やっぱり良くな...。」




拒否のことばを言おうとする玲蘭をキスで黙らせた伊織はそのまま玲蘭の服に手をかけた。




「伊織。」




「玲蘭、身体だけは正直だよ。」





玲蘭はそう言われて、自分のある部分が反応していることに恥ずかしさを覚える。




身体中をキスされていく状況で、玲蘭は、拒否の意思が薄れていった。





伊織を受け入れてみたいという気持ちに支配されていく自分に気がつく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る