第42話

伊織は玲蘭の腕を掴んで、2階へと続く階段を登る。




「伊織???」




伊織は無言だった。

部屋のドアを開けて、玲蘭の腕を掴んだまま入り、玲蘭をベッドにおしつけて、ドアを閉めた。




「伊織。」




「もう、さりなとか、バンドとか、友情とか、どうでもいい。どうでもいいんだ。」




そう言うと伊織は玲蘭の上に跨り、セーラー服のリボンをほどき、前チャックに手をかけた。




「伊織。なにしてるの?」




「玲蘭。」




「伊織。やめてよ。」




玲蘭が拒否の言葉を口にすると、伊織はキスでそれを封じ込めた。





首筋にキスされて、玲蘭ははじめての感覚に、頭がおかしくなりそうになる。





「玲蘭、俺、お兄ちゃん、辞めてもいい?」





「いいわけないじゃん!」





「でも、好きすぎて気持ちが抑えきれない。」





「伊織。やめてよ!」





伊織は無視して、自分の制服のボタンを外し始めた。




「伊織...。」




「玲蘭。玲蘭は俺のこと嫌い?」




「ううん、ずっと好きだった。本当はわたしだって、伊織と.......したかったよ。」




「じゃあ、いいじゃん。」





伊織は玲蘭の敏感なところに触れた。





玲蘭の身体にビビッと何かが走り、甘い声が出る。





「声も、可愛いんだね。」





「やめてよ。変なこと言わないで。」







玲蘭は怖くなった。

自分が欲に取り込まれそう。





もう、身体が拒否してないなかった。






そのとき、玄関のドアが開く音がした。




「ただいまー!」




志穂の声が聞こえてきて、伊織はハッと正気に戻った。

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