第40話

玲蘭は帰り道、有澤と入江に取り囲まれた。




「ちょっといい?」



「ごめんなさい。用事があるの。」



「知らねえよそんなの、こいよ。」





玲蘭が2人に連れて行かれるのを楓は見ていたが、そのまま見て見ぬふりをした。




玲蘭は校舎裏に連れて行かれた。





「てめぇさっきの集会、なんなんだよ。さりなが嫌な気持ちになるから明日から学校来るな。」




「あなたたちに私が登校するかどうか、決める権利なんかないから。」




「生意気言ってんじゃねーよ。」




カバンで殴られて、玲蘭は地面に腰をつく。





「昔からてめぇのこと大嫌いだったんだよね。

いい子ぶりっ子しやがって。学校から消えろ!」




2人がカバンで交互に玲蘭を殴る。




そのとき、急に豪雨が降ってきた。




「やべ!雨だ。メイク落ちる。ずらかろう。」




2人は走って行った。




玲蘭は泥を払いながら立ち上がる。





傘もなく、よろよろと家に向かって歩いた。





家に向かう途中、玲蘭はいろいろなことを考えた。




あの噂を流したのは加賀美楓だということはわかる。




楓は伊織の友達のはずなのに、どうしてこんなことをするのかがわからなかった。




そして一番モヤモヤしているのは、今まで何のために自分はいい子ぶりっ子してきたんだろうということだった。




結局、親友だと思っていた友達にあっさり裏切られて、今まで築き上げたものが全てなくなってしまった気がする。




今日は本当に自分の感情が騒がしくうつろい、

疲れてしまった。





奈々と似奈にもまだ隠し事してしまっている状態だ。





伊織と兄と妹であることも話せなかった、いや、話さなかった。





自分が至極自分勝手な人間であることに嫌気がさしてしまう。






もう、疲れた。



本当に疲れた。






玲蘭は雨に打たれた姿のまま、家に入った。

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