第39話

一方で玲蘭は教室に戻る途中、担任の高橋に話しかけられた。



「雨宮さん!」



「先生。」



「大丈夫?」



「ええ、集会の時はご心配おかけしました。」




「あの、それで、雨宮さん、あの朝比奈くんとの噂は...。」




「誤解です!」




「そうよね?あなたたち、血が繋がっていないとはいえ、兄と妹なんだから、そんなこと、しないわよね。」




「はい。多分、急に仲良くなったから誤解が産まれたんだと思います。心配かけて、すみませんでした。」




口から出まかせ、というのを初めてしてしまったかもしれない。




玲蘭は真面目に生きてきたはずなのに、先生に嘘をついたのが嘘みたいだった。





「誤解になるような行動は謹みます。」




「ご両親から、再婚のことは伏せておくように連絡いただいたから、私と事務の人だけしか、まだ知らない状態にはしてある状態だけど、


今回みたいにちょっとしたことですぐに騒ぎになってしまうから、やっぱりこのまままだ伏せておいたほうが良さそうね。」



「はい、ご迷惑おかけしてすみません。」




玲蘭は深く礼をして、先生を見送った。




楓がその場面を目撃し、影に隠れた。





(伊織と雨宮がきょうだい...?)

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