第37話

先生が動き出そうとしたところ、奈々が壇上にあがって、玲蘭からマイクを奪った。




「くだらない噂で、私たちの会長をなじるのはやめてください。



恋愛関係のゴタゴタが仮にあったとしても、それが生徒会活動に何が関係があるの?




あなたたちこそ、輪を乱す行動は謹んでください!」




「奈々。やめて。大丈夫だから。」




「玲蘭。」




「ちゃんと、話すから。」





そのやりとりを全校生徒は見守った。




「みなさん、SNSで、私と朝比奈くんのことが話題になり、騒ぎになってしまい、申し訳ありませんでした。



会長として、きちんと皆さまの見本となれるように、今一度、自分自身を省みて、

誤解を受けるような行動は謹みたいと思います。



中学三年生は秋の文化祭が受験前に行う、最後のクラス行事となります。

それぞれ、悔いのないように、思い出を作りましょう。




最後に今後も生徒会の活動にご協力、よろしくお願いいたします。




以上です。

本日は騒ぎを起こして、申し訳ございませんでした。」




玲蘭は深く頭を下げた。




すると一部の生徒から拍手が漏れてきて、それが全体に広がった。




玲蘭はまた目を潤ませて、頭を下げた。




奈々が肩を持って、玲蘭を支えた。




玲蘭は生徒会メンバーのもとへ戻り、修也が1年生から順番にクラスへ戻るようにアナウンスを、始めた。




皆んなが退出してる間、生徒会メンバーは体育館の隅で話をしていた。




「よくがんばりましたよ、会長。」




「ありがとう。みんな。本当にごめんね。」




「でも、あいつら、酷いっすね。公開処刑みたいなことして。」



智之がそう言ったが、

玲蘭は、被害者面もできなかった。




伊織とキスしていたことは事実だ。




この先の身の振り方を、考えなければならないと思うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る