第33話

隣の席の楓がニヤニヤしながら玲蘭を見た。



「すげー意外だったなぁ。まさか、成績優秀、みんなの憧れ、生徒会長様が、他の女の彼氏を横取りするなんてさ。」



「勝手なこと言わないで。」



「へー、夢中で二回もキスしておいてよく言うよ。超エロかったよ。」




玲蘭は楓を睨んだ。




変な噂を流したのが楓であると確信した。




「あなたなの?変な噂流したの。」



「変な噂じゃないよ。事実じゃん。」



「事実じゃない!!!」




玲蘭が叫ぶと、教室中静まりかえる。




「雨宮さん?」




恥ずかしくなって、俯くと、高橋先生が顔を覗きこむ。




「どうしたの?」




「なんでも...ありません。」





「静かにしてね。」




「静かにしてねー?」




馬鹿にしたように笑う楓を玲蘭は更に睨んだ。





(大嫌い...最低...こいつ。)






玲蘭の中に憎悪という感情が初めて芽生えたような気がした。

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