第32話

教室に着くと、みんな玲蘭を見つめた。




伊織はまだ着ていないようだった。




「おーっと。最低女登場ー。」




さりなと親しくしている有澤と入江が立ち上がった。



クラスでも派手な部類の2人が玲蘭の前に立ちはだかる。



「おぃ、てめー、さりなの男に手ェ出すとか、どういうつもりなんだよ。あ?言ってみろ。」



「誤解よ。」



「誤解でなんであんな情報が出回るんだよ。

 煙のないとこに、なんとかって言うだろ?」




間違った言い回しに、首を傾げたくなるが、玲蘭は自分の置かれた状況をすぐに理解した。



さりなのグループのみならず、さくらたちも玲蘭を白い目で見ていた。




「何騒いでる!チャイムなってるぞ!5組は何してんだ。席に座りなさい。」




4組の小川先生が入ってきて、みんな慌てて座る。




担任の高橋も慌ててやってきた。


 




「みなさん、おはようございます。ごめんね、ちょっと電話入っちゃって。朝のホームルーム、はじめます。座ってー。」





玲蘭は、有澤と入江、さりなから睨まれ、肩をすくめながら俯き気味に自分の席に座った。

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